vol.26 国庫帰属制度の“落とし穴”
2026年04月02日
【手放したい土地でも、実は数百万円かかることがあります】
2023年にスタートした「相続土地国庫帰属制度」。 相続した土地を国に引き取ってもらえる制度として注目されていますが、実際には 誰でも簡単に手放せる制度ではありません。
現場で相談を受けていると、制度の誤解や想定外の費用で困っている方が非常に多いと感じます。
今回は、制度のポイントと“落とし穴”を分かりやすく解説します。
■ 国庫帰属制度とは?
相続した土地を「管理できない」「使い道がない」「負担が大きい」などの理由で手放したい場合、一定の条件を満たせば国が引き取る制度です。
一見すると便利に見えますが、実際には 厳しい条件 と 高額な費用負担 があり、利用できるケースは限られています。
■ 落とし穴①:審査に通る土地はごく一部
国庫帰属制度は、どんな土地でも引き取ってくれるわけではありません。 特に重要なのが 「市街化区域であること」。
● 市街化調整区域の土地は、ほぼ対象外
山口県内でも市街化調整区域は多く、 「田んぼ」「山林」「農地」「造成されていない土地」などは、審査の段階でほぼ不適格となります。
■ 落とし穴②:測量費・境界確定費用が高額
国庫に引き取ってもらうには、 境界が明確で、トラブルのない土地であること が必須です。
そのため、
境界確定測量
隣地所有者との立会い
境界標の設置
必要に応じた残置物撤去 などを行う必要があります。
● 費用の目安
実務では、 50万〜200万円以上 かかるケースが一般的です。
山林や広い土地では 300万円超 になることもあります。
■ 落とし穴③:国への負担金が別途必要
測量などの準備費用とは別に、 国に支払う「負担金」が必要です。
● 負担金の目安
宅地:20万円
田畑:20万円
山林:20万円
雑種地:20万円 (※土地の種類により変動)
つまり、 測量費+負担金で合計100万〜300万円以上 になることも珍しくありません。
■ 落とし穴④:建物があると引き取り不可
建物が残っている場合は、 解体して更地にすることが必須。
解体費用は
木造:200万円以上
鉄骨造:300万円以上
RC造:400万円以上 が一般的で、さらに費用が膨らみます。
■ 結論:国庫帰属は「最後の手段」
制度自体は素晴らしい仕組みですが、 実務的には 費用負担が大きく、利用できる土地は限られる のが現実です。
● まずは専門家に相談を
・売却できる可能性
・活用できる可能性
・相続放棄の選択肢
・空き家バンクや自治体制度の活用 など、他の選択肢がある場合も多くあります。
■ まとめ
・国庫帰属制度は「誰でも使える制度」ではない
・市街化区域でない土地はほぼ対象外
・測量・境界確定に数十万〜数百万円
・国への負担金も必要
・建物があると不可(解体費用が別途必要)
土地を手放す方法は国庫帰属だけではありません。
状況に応じて最適な方法を一緒に考えることが大切です。
