vol.14 悪徳な営業手法「囲い込み」

2021年07月04日

【悪徳な営業手法「囲い込み」にご用心!】

 

売主様と買主様を「仲介」し、不動産売買取引のお手伝いする業者は「仲介業者」と呼ばれています。

そして無事売買取引が成立したときに、仲介業者がお客様から頂戴する報酬が「仲介手数料」です。

 

ちなみに、売主様側の仲介をする業者を「元付(もとづけ)」と呼び、物件がなるべく好条件で売れるように売却活動をサポートします。

逆に、買主様側の仲介をする業者は「客付(きゃくづけ)」と呼び、素敵なマイホームを見つけるお手伝いをしています。

 

そして、それぞれの活動が実を結び無事に売買取引が成立した場合、元付は売主様から、客付は買主様から、それぞれ仲介手数料を受け取ることになっています。

 

これが最も基本的な取引形態です。

売却講座 元付

しかし、もしも元付が直接、買主様を見つけた場合はどうなるでしょうか。

 

客付け業者が不在となりますので下記のような構図になります。

売却講座 客付

この場合、元付業者は売主様・買主様双方から仲介手数料を受け取っても良いことになっています。

前者のような元付と客付が協力するような取引を業界では「片手取引」と呼び、後者のような客付がいない取引を「両手取引」と呼んでいます。

 

単純に両手取引は片手取引の2倍儲かりますので、営業スタッフはなるべく「両手取引」を狙います。

両手取引を成功させるために、売却依頼を受けたらなるべく自分の抱えているお客様を優先的に案内したい。

抱えているお客様がいなければ、会社の同僚のお客様で決まれば会社の売上には貢献できますので、次点で優先したい。

 

他の会社の顧客は、正直なところ営業スタッフにとっては優先順位が低くなってしまいがちなのです。

 

両手取引であったとしても、営業スタッフが誠心誠意対応した結果であれば全く問題はありません。

 

しかし、不動産業者の中には両手取引を目的として物件の情報を公開せずに隠したり、公開はしても他社のお客様に対しては「既に申し込みが入った」「近日中に契約予定」などと言ったりして、検討させてくれないケースがあるのです。

 

このように、両手取引を目指して意図的に物件情報を操作する行為を「囲い込み」と言います。

 

では、囲い込みによる具体的なデメリットは何でしょうか?

いくつかのパターンが考えられますが、主に「売却期間の長期化」「不必要な値引き」の2点が挙げられると思います。

 

例えば他社から内見の相談で連絡が入っても、自社の顧客を優先する為にそれを勝手に断ってしまいます。

本来であればその案内ですぐに成約に至る可能性があるにもかかわらずです。

更に悪質なケースでは、他社から条件の良い申込が入っても、自社で取った数百万円の価格交渉付き申込を優先するような事例すら存在しています。

他にも、自社の案内が入るまで他社の案内を断り続け、最終的に「反響が来ないから」と販売価格の値下げを迫るようなこともあります。

これは他社の案内を受け入れていれば、値下げなしでの成約もあり得た事例です。

 

基本的に、売主様はなるべく高く早期に成約することを望んでいます。

しかし囲い込みをされてしまうと、なかなか売れず不安な期間を過ごすことになります。

特に買換え等、売却の期限が定まっている場合は深刻で、時期が迫ればどうしても売らなければならず大幅な値引きを決断しなければならないようなこともあり得るのです。

本来であれば売主様の良きパートナーであるべき不動産会社が、自社の都合だけで売主様の資産価値を減らしてしまっているのです。

 

「囲い込み」は、売主様にも買主様にも不利益が生じてしまう、不動産業界の悪しき慣習です。

規制も厳しくなっており減ってきてはいるものの、一部のモラルに欠ける業者によって未だに行われているのが実態です。

ただ、囲い込みを防止するor見破る方法もいくつか存在しています。

もしも、ご自身の不動産の売却中に囲い込みの疑いを持たれたら、どこか信頼のできそうな不動産会社にお声がけください。

 

物件の囲い込みは法律でも禁止されている悪質な行為です!