vol.15 売却開始の第一歩 媒介契約
2021年07月20日
【媒介契約制度の違い】
「媒介(ばいかい)契約」という言葉をご存じでしょうか?
不動産会社から査定資料を受け取る中でご存じかもしれませんが、念のため解説いたします。
先ず、ざっくり言うと、
売主様が不動産会社に売却活動を依頼する際に取り交わす契約です。
不動産会社は売却依頼を受けるとき、売主様に媒介契約書を交付する義務があり、多くの場合で国土交通省が作ったひな形を使用しているため、契約書の内容は会社が違っていてもほとんど同じになっていたりします。
契約書の主だった内容は下記のような項目です。
■売主様の住所、氏名
■依頼を受ける不動産会社
■売却を依頼する不動産
■販売価格
■契約期間(最大3ヵ月)
■成約時の仲介手数料 など
これら以外にも項目はありますが、代表的なところを列挙いたしました。
ちなみに、契約期間は最大3ヵ月までしか結ぶことができないことになっています。
3ヵ月ごとに「更新するか否か」を判断し、問題なければ更新書類に署名・捺印をする流れです。
そしてこの媒介契約は、お互いを縛り付ける厳しさで3段階に分かれており、下記のような名称になっています。
【弱】一般媒介
【中】専任媒介
【強】専属専任媒介
いくつか細かな違いがあるのですが、最も大きな違いは下記の2点です。
■依頼できる不動産会社の数
■自己発見取引の可否
自己発見取引とは、ご自身が発見した買主様と直接契約することを指します。
珍しい事例ですが、例えば親戚やご友人などに売却する場合など稀に起こります。
さて、ここからは3種類の媒介契約の違いを便宣上【中】から解説していきます。
契約の厳しさが【中】程度である専任媒介とは、売却活動を1社にしか依頼できない契約で、複数社に依頼してしまうと「違約」となってしまうので注意が必要です。
ただ、「自己発見取引」は認められています。
専属専任媒介は1社にしか依頼できない点は「専任」と同様ですが、「自己発見」すらも禁じているのが大きな特徴です。
一般媒介は一番緩い契約形態で、複数社への依頼も、自己発見も可能になっています。
大きな違いは以上ですが、この他にも売却活動に関する報告の頻度や、不動産業者専用の物件データべースへの登録義務についてなど、細かな規定が存在しています。
ちなみに、図表内の「指定流通機構」とは次項で詳しく解説する「レインズ」を指します。
簡単に言ってしまうと「国が運営している不動産会社専用の物件情報検索サイト」で、不動産会社間の情報共有をスムーズにするためのものです。
媒介契約によって、このデータベースへの物件登録を義務化することで「囲い込みの防止」や「円滑な取引の促進」を狙った制度になっています。
「どの媒介契約を選ぶべきでしょうか」というご質問をよくいただきますが、基本的には「安心して任せられる」と断言できる不動産会社が見つかっていれば「専任」でお任せいただければと思います。「どうしても選べない」という場合には「一般」を視野に入れて頂くと良いでしょう。
「一般」を選ばれる場合の懸念としては、見学予約についてや申込の受理、各種報告の受理など、売主様のご負担が依頼した不動産会社の数分増えてしまうことになります。
また、不動産会社によっては、一般の場合は広告予算が減ってしまうケースや、積極的に販売活動に取り組まないケースもあるので、そういったリスクも鑑みてご検討ください。
一般媒介
専任媒介
「一般媒介契約」のデメリット 「専任媒介契約」のメリット
■報告義務がないため、販売状況や問合せ状況が分かりません。 ■2週間に1回以上の状況報告
■複数社から販売状況の確認が入り大変です。 ■指定流通機構への登録義務